Lindzen 1988 PAGEOPH

プレゼン用の資料じゃなくて, 論文の PDF をプロジェクターに写すってアリ?

御託宣.

シアー不安定の線型論自体は,
数学的には解析できる(中立モードを探せば良いよね, って話).
でもナニが起きているのかを解釈できてない.
ここでは「波の過剰反射」でシアー不安定を統一的に「解釈」する(できる).

設定

系の設定にもよるけど, 線型論では

  • 順圧不安定

\Psi_{yy} + \biggl\{\frac{\beta - U_{yy}}{U-c} - k^{2}\biggr\}\Psi=0

  • 傾圧不安定

\Psi_{zz} + \biggl\{\frac{\varepsilon^{-1}\beta - U_{yy}}{U-c} - k^{2}\biggr\}\Psi=0

  • 成層のあるシアー不安定

\Psi_{zz} + \biggl\{\frac{N^{2}}{(U-c)^{2}} - \frac{U_{zz}}{U-c} - k^{2}\biggr\}\Psi=0

となる. 結局, 不安定になるのは { }の中身が虚数になった時で,

  • 順圧不安定: Rayleigh-Kuo theorem
  • 傾圧不安定: Charney-Stren theorem
  • 成層のあるシアー不安定: Miles-Howard theorem

Ri < 0.25, \qquad Ri=\frac{N^{2}}{(d~ u/d~ z)^{2}}

と呼ばれている. 1/4 はなんだったっけ? 呪文の様に覚えてたんだけど.

過剰反射とは何か.

解釈してみると,

  • 定常強制で不安定になるか(初期値問題でも良いけど)
  • シアーに変曲点が無いとクリティカルレベル(U-c=0 の所)が無いから駄目.
  • シアーにクリティカルレベルがあるとする.
  • U ≠ c では
    • 波は伝播するだけ.
    • さらに Eliassen-Palm 2nd theorem より

\frac{\partial }{\partial z}(\rho \overline{uw})=0

    • つまり, 本当に「ただ伝播するだけ」で, 平均流ともエネルギーのやりとりをしない.
  • シアー不安定を考える場合には, 伝播している途中で解が波動解から指数解に変化する場所が必要. そこから波はその領域を一瞬で透過する(指数解だから群速度無限大). これが無いとクリティカルレベルまで行けない(これを大先生は Wave Geometry と呼んでいた. Wave の Geometry かよ).
  • U = c (クリティカルレベル)で,
    • Eliassen-Palm が崩れて, 波動が平均流とエネルギーのやりとりを始める. すると Kelvin-Orr mechanism (位相面が立つの)で, 擾乱は平均流からエネルギーを貰う.…でもこれ, 本当かな. 群速度が無限大だから等位相面は既に立っているから
    • 結果としてクリティカルレベルから, 平均流からエネルギーを貰った波動が放射される.

反射というより, 層でなにが起きるのか不問(ブラックボックスだと思う)として, 波が入射するとクリティカルレベルから新たに波が放射される. 上下に放射するので, 「透過」と「反射」と.

これが繰り返されて, 不安定化する, という解釈.